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感想文

感想を長々と書くところ

『マクベス』7/14夜の部②

シェイクスピア作品の狂ってしまう女が大好きで、マクベス夫人もとても好きな人物だったので今回とても楽しみにしていました。

安藤聖さん、素晴らしかった。

一番印象的だったのは晩餐会のシーン。
バンフォーの暗殺を「後で褒めてもらおう」と秘密にしたマクベスが、バンフォーの亡霊を見て錯乱状態になる。それを何とか宥めた後、夫人は泣き崩れる。
これをきっかけに夫人はおかしくなってしまうんだけど、錯乱状態になっているマクベスを見る夫人が本当に悲しそうで辛かった。

ダンカンの殺害を促したのも、夫を王にしたいからだけではなく自信をつけさせたかったからなのかもしれない。
マクベスはとても繊細であの時代を生きるには優しすぎて、彼が生きていく為にも夫人は自分自身が残酷になることで後押ししたのではないか。
自分の腿を強く叩いたり、床や壁を叩いたりしているような仕草があったような気がしたんだけど、あれも恐怖心と戦いながら覚悟を決めている様子に見えなくもない。

あと、マクベスに何かを言い聞かせる時、夫人が何度もマクベスの顔を包み込むように触れるんですが、その姿が母親のように見える。
マクベス夫妻には子供がいない(いたが幼くして亡くなった、という説もある)のですが、あの時代において子供がいないことの絶望ってかなりのものだったと思うんです。
現代だって、子供が欲しいと思う夫婦に子供が出来ないことは悲しいことだと思うけど、あの時代は「後世に残すこと」に重きが置かれているから。
名誉も何も、今でなく子の代に残ってこそなので、未来にある。そう考えるとマクベス夫妻には未来がないんですよね。
だから、夫人は我が子を愛するように夫を愛したのかなと思う。未来がないからこそ、今を愛そうと思ったのかな。

最期のところで夫人の股の辺りに血がついていて、それについて流産したという見方もあるみたいなんだけど、私は月経という解釈をしています。きっと月経が来る度、夫人は絶望したのだろうなと。身を投げた引き金に十分なり得る出来事として捉えたのではと考えますが、誰か答えを教えてください!(笑)

今回の『マクベス』におけるマクベス夫人は最期まで人間だった。
夫を自分を滅ぼすまで愛した妻であり、全てを包み込む母でした。